キャリア教育事業プランニング
ICDSキャリア・コンサルタント養成講座事務局




| 1 政府機関における人間力の定義 | 2 HAME検査における言葉の定義 | 3 名称に関する考え方 | 4 測定項目の詳細設定 |


1 政府機関における人間力の定義

 内閣府が、平成15年4月10日にまとめた「人間力戦力研究会報告書」(若者に夢と目標を抱かせ、意欲を高める~信頼と連携の社会システム~)によると、「人間力」の定義を次のようにしている。

「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」

 そして、その具体的な構成要素として、次の3つを挙げている。

  • 1 知的能力的要素

基礎学力、専門的知識ノウハウとこれらを基礎とした論理的思考や創造力などを含む。

  • 2 社会・対人関係力的要素

コミュニケーション、リーダーシップ、公共心、規範意識、他者を尊重し切磋琢磨しお互いに高め合う力など。

  • 3 自己制御的要素

上の2つの要素を発揮するための、意欲、忍耐力、自分らしい生きや成功を追求する力など。

 このような能力を発揮する場面という側面で、次のような分類をしている。

  1. 職業人としての活動に関わる「職業生活面」
  2. 社会参加する市民としての活動に関わる「市民生活面」
  3. 自らの知識・教養を高め、文化的活動に関わる「文化生活面」

 また、経済産業省は、社会人基礎力を定義した。その概要は次のとおりである。

【社会人基礎力の具体的内容】

社会人基礎力を構成する主要な能力について

 1 前に踏み出す力(アクション)

一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力

実社会の仕事において、答えは一つに決まっておらず、試行錯誤しながら、失敗を恐れず、自ら、一歩前に踏み出す行動が求められる。失敗しても、他者と協力しながら、粘り強く取り組むことが求められる。

 2 考え抜く力(シンキング)

疑問を持ち、考え抜く力

物事を改善していくためには、常に問題意識を持ち課題を発見することが求められる。その上で、その課題を解決するための方法やプロセスについて十分に納得いくまで考え抜くことが必要である。

 3 チームで働く力(チームワーク)

多様な人とともに、目標に向けて協力する力

職場や地域社会等では、仕事の専門化や細分化が進展しており、個人として、また組織としての付加価値を創り出すためには、多様な人との協働が求められる。自分の意見を的確に伝え、意見や立場の異なるメンバーも尊重した上で、目標に向けともに協力することが必要である。

【3つの能力の要素】

 1) 前に踏み出す力(アクション)

 主体性:物事に進んで取り組む力

例)指示を待つのではなく、自らやるべきことを見つけて積極的に取り組む。

働きかけ力:他人に働きかけ巻き込む力

例)「やろうじゃないか」と呼びかけ、目的に向かって周囲の人々を動かしていく。

実行力:目的を設定し確実に行動する力

例)言われたことをやるだけでなく自ら目標を設定し、失敗を恐れず行動に移し、粘り強く取り組む。

 2) 考え抜く力(シンキング)

 課題発見力:現状を分析し目的や課題を明らかにする力

例)目標に向かって、自ら「ここに問題があり、解決が必要だ」と提案する。

計画力:課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力

例)課題の解決に向けた複数のプロセスを明確にし、「その中で最善のものは何か」を検討し、それに向けた準備をする。

創造力:新しい価値を生み出す力

例)既存の発想にとらわれず、課題に対して新しい解決方法を考える。

 3) チームで働く力(チームワーク)

 発信力:自分の意見をわかりやすく伝える力

例)自分の意見をわかりやすく整理した上で、相手に理解してもらうように的確に伝える。

傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力

例)相手の話しやすい環境をつくり、適切なタイミングで質問するなど相手の意見を引き出す。

柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力

例)自分のルールややり方に固執するのではなく、相手の意見や立場を尊重し理解する。

 情況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力

例)チームで仕事をするとき、自分がどのような役割を果たすべきかを理解する。

規律性:社会のルールや人との約束を守る力

例)状況に応じて、社会のルールに則って自らの発言や行動を適切に律する。

ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力

例)ストレスを感じることがあっても、成長の機会だとポジティブに捉えて肩の力を抜いて対応する。



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2  HAME検査における言葉の定義

 この検査の基本的な考え方は、これらの定義を参考にしつつ、エモーショナル・クォーシェント(EQ)の新たな展開検査として、人間力を捉え、次のような定義を基本として、測定の項目を以下の内容とした。

人間力の定義

「社会(特に職業社会)で生き抜くため、自分の意思や価値観をしっかり確立し、それを基礎に自分の心をうまく構成し、人との交流や関係維持、仕事上の運営能力をバランスよく確立していること」

 

人間力の測定項目

1 価値観(アイデンティティの基礎としての)

人間の自立の前提としてのアイデンティティ(Identity:自我同一性=自分が自分であることの認識)の確立、その基礎となる価値観の認識を明確にすること。価値意識は、自分の生き様や行動・興味の選択にあたっての基礎的な判断土台をなしている。

2 論理的思考とマネジメント能力

物事の本質や問題の所在を認識し、組織の中で政策化したり、実行したり、組織化したい、できる能力の明確化。

3 自己意識に関するバランス感覚

自分の意志力や精神性、こころの組み立て方などについてのバランス状態の明確化。

4 対人的交流能力(コミュニケーション力)

人との交わりにおける受信力、発信力、観察力などの能力を持っていることで、人間関係をスムーズにする能力の明確化。

  この4つのスキームで測定することにする。人間力の中の基礎学力や専門知識・技術(ノウハウ・資格を含む)については他に測定できるものがあるので、対象としない。



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3 名称に関する考え方

 この人間力を測定する「アンケート検査」の名称を「HAME」(ハム)とする。それは、次の名称の頭文字をとったものである。

「Human Ability Measurement & Evaluate」
(ヒューマン・アビリティー・メジャーメント アンド エヴァリュート)

それぞれのことばの意味は、次のような内容で、

Human人間としての(人間的な)
Ability能力を(人材としての)(Special Quality=特性)
Measurement測定(‘特性を測り)し
Evaluate評価・判断(する)(Estimate)

 直訳的に言うと、「人間的能力の測定及び評価」ということになる。この測定は、本人の日常的な行動の特性や、その行動の背景にある価値意識、こころの持ち方、マネジメント上の運営のクセ(癖)などを、質問に対する素直な回答によって測っていこうとするものである。その意味では、アンケートであり、認識している状況と実際の能力とに誤差が生じることもある。しかし、本人が自覚的に自分を見つめ自己開発するための基礎的データを持つツールとしては有効に働くものである。
 その意味ではEQ(エモーショナル・クォーシェント=Emotional Quotient)的な測定ツールといってよい。このアンケート検査を通して、本人の優れたコンピテンシー(Competency)を分析的に見つけ出し、エンプロイアビリテー(Employability=働き続けられる能力)を形成(キャリア形成)するための指針を確認することができる。



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4 測定項目の詳細設定

 測定項目は、4つの性向を基本に、それぞれ6項目を設定した。合計24項目になるがそれぞれの名称と定義は次のとおりである。この各項目は、それぞれで独立した評価を持っているが、各項目を掛け合わせることによって、より具体的に本人の特性やスタイルを分析的に見ることもできる。掛け合わせ分析は、サンプル的に設定することができるが、人それぞれで特徴があるので、面談型のアセスメントで深めていくのが適切である。

@ 価値観(アイデンティティの基礎としての)

 人間の自立の前提としてのアイデンティティ(Identity:自我同一性=自分が自分であることの認識)の確立、その基礎となる価値観の認識を明確にすること。

精神欲:
理想を重んじ、精神的な満足感を常に追求し、物事の精神文化的な心地よさを大切にしている傾向にある。
挑戦欲: 常に能動的・行動的で、新しいことや少し困難なことに挑戦したり、新しいことを生み出したりすることを、意味があると考えている傾向がある。
個人欲:
プライベートに家族や自身の利益・納得を中心においていて、マイペースな個人的満足感を大切にしている傾向にある。
物質欲:
物を「作ったり」、「獲得したり」というように、何か形のあるもの対する欲求が強い傾向にある。
安定欲:
人間関係においても経済的にも、現状を安定的に過ごすことが自分にとっての幸せの第一だと考えている傾向がある。
社会欲:
社会や組織の中での地位や実績に関する自分への評価を大切にしていて、社会的貢献などについて自己の到達意欲を強く持っている傾向にある。

A 論理的思考とマネジメント能力

 物事の本質や問題の所在を認識し、組織の中で政策化したり、実行したり、組織化したい、できる能力の明確化。

情報力:
大量・複合化してあふれる情報の中から、それを取捨選択し、有用な情報を編集して、物事の課題にマッチして編集できる能力。
創造力: 新しい発想を発見したり、挑戦的課題に対する新機軸の組み立てを自ら生み出したりできる能力。
論理力:
物事を数値的に分析したり、順序だてて構成・整理したりすることが得意で、数字に強く問題解決に対する強い意志を持っている。
運営力:
物ごとを仕組みで考えていて、課題の実行にあたってその遂行、実施評価・測定、見直しなどにより、より強い推進力を持っている。
対処力:
さまざまなリスクや問題点を事前に想定し、これに対する対処、対策を先んじて考え抜ける能力がある。
観察力:
仕事や課題を総合的・体系的に観察し、その本質的・重要事項に関する判断が適宜・適切のできる能力。

B 自己意識に関するバランス感覚

 自分の意志力や精神性、こころの組み立て方などについてのバランス状態の明確化。

向上心:
高いモチベーション(達成動機の維持)を持っていて、何事に対しても挑戦的で、少々困難なことでも成し遂げようとする強い意志を持っている。
度 胸: 自分の背丈に合わない事柄でもそれに動じない自信、セルフエフィカシーや肝っ玉を持っていて、実際の課題に対した時も「やる、やらない」を、勇気を持って決断できる。
復元性:
失敗があったり、人に批判されたりしたときも、その意味するところや教訓を学び取り、ポジティブに対応して次に活かせるスタンスがある。
持久性:
取り組み始めたら忍耐強く、粘りがあって、物事をやり遂げようとする意志の強さを持っている。
責任感:
責任者を務めるということは、役職であって、それがそのまま「責任感」とはつながらない。責任感とは、自己課題や組織課題に対する実行・成果・問題などへの真摯・誠実な姿勢を持って臨んでいること。
精神力:
何か問題が生じたときに、安定的に問題を見つめられ、冷静・沈着な対処ができるこころの作り方ができているということで、メンタルタフネスを有する。安定の基礎は客観性と論理性に裏付けられることが多い。

C 対人的交流能力(コミュニケーション力)

 人との交わりにおける受信力、発信力、観察力など能力を持っていることで、人間関係をスムーズにする能力の明確化。

共感力:
人の話はただ聞けばよいものではない。実際に相手がどのような感情を持って、自分に何を期待したり、訴えたりしようとしているのかを理解することが重要である。そのためには適切な質問や反応を含めて深く相手をとらえる能力。
強調力: ただ仲良くできるだけでは、協調性があるとはみなされない。アサーションを発揮し、問題があってもそれをうまくまとめて主張し、問題解決できる協調性である。これは適応力ともいう。
交渉力: 相手に対する分析、交渉上の立証データ準備、交渉設定のTPO、粘り、相手の理解、融合能力などが総合的に発揮され、結果を出せる力である。
説明力:
基本技術は話術やエンタテーメント性であるが、そのケースごとにどのような構成や設定、提供情報の編集などを行うかで、その成果に大きな差が出る。わかりやすさや大衆性、論理性をうまく組み立てる力の集合力。
指導力:
リーダー性のある人とは、理念やビジョンが示せ、人をひきつける力や人の意見・気持ちを引き出し意欲に変える力など、人への説得と共感、組織掌握などを併せ持った人である。
奉仕力:
他者に対し「思いがけない喜び」や「満足」を与えるというのは、日ごろからの観察や日常の生活認識から生まれる。そのような付加価値を発想できる潜在的ニーズへの意識性の高さと発想力である。その意味では、ホスピタリティーのバランスに優れている。



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